リーダーシップ状況論の理論と実践方法

その他テクニック

今回の記事では、リーダーシップの理論と、IT業界における実践について述べていきます。
情報処理技術者試験対策としては理論を知っていれば良いですが、実際に現場で活かす上で役に立つ情報(経験則)も書いていきます。


【理論】

組織とリーダシップの関係は下記図のようになるとされています。
組織が成熟するにつれて、有効なリーダーシップの取り方がa→b→c→dに移行するとされています。

aは組織の発足時の段階です。
構成員のスキルも自主性も不足しているため、仕事関係本位でリーダー自ら先頭に立ってチームを引っ張る必要があります。
スポーツに例えると「選手をきちんと管理することが勝つための条件だ。」という状態です。

bはaから成熟度が進み、構成員がスキルを身に付け始めた頃です。
構成員を引っ張るだけでなく、リーダーが1から10まで指示しなくてもチームがパフォーマンスを発揮できるようにするために、構成員の自主性を育て大切にすることも考える必要が出てきます。言い換えると、仕事関係本位のリーダーシップだけでなく人間関係本位のリーダーシップも強めていくことが有効になります。
スポーツに例えると、「うるさく言うのも半分くらいで勝てるようになってきた。」という状態です。

cは更に成熟度が進み、構成員が自主性を身に付けはじめ、自分の仕事を自ら見つけ、必要なスキルを自ら身に付けるようになり始める段階です。
この段階になると、仕事本位のリーダーシップを取る必要性が薄くなり、構成員の自主性を維持するための人間関係本位のリーダーシップを前面に押し出すことが有効になります。
スポーツに例えると、「勝つためには選手と十分に話し合って戦略を作ることだ。」という状態です。

dは成熟度が最も進んだ段階です。
各々の構成員が自らリーダーシップを取るようになるので、リーダーは人間関係本位のリーダーシップも弱め、構成員に任せて見守るというリーダーシップの取り方が有効になります。
スポーツに例えると、「勝つためには選手に戦術の立案と実行を任せることだ。」という状態です。


【実践】

IT業界の開発の現場では、具体的に以下のことが言えます。

最も成熟度が低いaの状態というのは、構成員のスキルも自主性も不足している状態のことです。もう少し具体的に言うと、成果を出すために何をすれば良いのかわからない状態や、そもそも成果を出すための意欲が低い状態のことを指します。
現場としては、全くの新規プロジェクトの現場や、前任者が離脱して残された構成員が右往左往している現場、組織再編や短納期化等でこれまで頼っていた社内プロセスを見直さざるを得なくなった現場等が、これに該当するでしょう。
この状態の組織では、十分な能力や経験を持つ者がリーダーとなり、リーダー主導で作業計画や品質強化を行う必要がありますし、リーダー自ら設計や開発に関わる必要もあります。炎上プロジェクトの火消し役、というのもここに含まれます。
リーダーのワンマンプレイのようになるので人間関係に軋轢が生じることもありますが、この段階では副作用としてある程度受け入れざるを得ません

成熟度が少し高くなり、bの状態になると、構成員にスキルが身に付き始めます。この状態になると、末端の細かい判断や作業は構成員自らできるようになります。
現場で言うと、混沌とした時期を乗り越え、プロセスが正常に回り始めた現場と言うことができると思います。
この状態になると、構成員がプロセスに沿って自ら仕事ができるようになります。リーダーは、構成員がプロセスに沿って仕事ができるようにサポートするのが主な仕事になります。
まだまだリーダー自ら動かなければならない場面も多いですが、このあたりからは構成員に任せる仕事の範囲を徐々に広げ、構成員と良い人間関係を築くことも考える必要が出てきます。あまり長い間リーダーが前面に出ていると、構成員の自主性が育つのを阻害し、次の成熟度へ進むのが難しくなります。

成熟度が更に高くなり、cの状態になると、構成員に自主性が育ち、自ら考えられるようになります。
この段階になると、重厚長大なプロセスに頼らずとも、各々の構成員が適切な判断をするようになります。不測の事態が発生した時にも対応が楽になりますし、そもそも不測の事態が発生しないように各々の構成員が手を打つようになります。
この状態になると、これまでリーダーが行っていたような判断を構成員自ら行うようになりますし、その上で足りないスキルがあれば構成員自ら努力して身に付けるようになります。
この段階になれば、リーダー自ら動く必要はなくなります。構成員が気持ちよく仕事ができるように(このリーダーの下で働きたいと思ってもらえるように)、人間関係のメンテナンスに注力するのが有効になります。

成熟度が最高に高まり、dの状態になると、構成員自らリーダーシップを取るようになります。
各々の構成員が適切な判断をするようになるだけでなく、リーダーのように組織作りといったことも考えるようになります。
この段階に到達すると、リーダーは人間関係のメンテナンスをする必要もなくなります。
リーダーの仕事は、構成員に任せて見守るというものになります。この状態であれば、リーダーが更に上の立場に昇進したとしても、現場に問題は発生しないでしょう。


いかがでしたでしょうか。

今回は、リーダーシップ状況論について、情報処理技術者試験で問われることだけでなく、より実践的なことを経験則から補記しました。
実践的なことも知っていると、記憶が定着しやすくなりますし、知識も活かしやすくなると思います。

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