2進数や16進数を説明する時に使っている図

私が2進数や16進数を説明する時に使っている図はこれです。
基数計算を本質的に理解できる図になっていると思います。


私たちが日常で使っているのは10進数です。
10に達すると次の桁に繰り上がるという概念です。

対して、2進数は2に達すると次の桁に繰り上がるという概念であり、ビットのON/OFFの2値で制御するコンピューターにとっては2進数の方が都合が良いです。
16進数は16に達すると次の桁に繰り上がるという概念であり、2の倍数となっている(16進数2桁で256通り=8ビット=1バイトの情報を扱える)ため、これもコンピューターにとっては都合が良いものになっています。

「○進数は○に達すると次の桁に繰り上がるという概念である」ということさえ覚えておけば、特に困ることはないと思います。 少なくとも私は、仕事でも趣味でも資格試験でも困ったことはないです。


基数計算は以下のように行います。

例えば、125を10進数で表す時は

  • 10*10*10の桁…1000より小さいのでここには何も入らない。
  • 10*10 の桁…ここを1にすれば、125の内100は表現できる。残り25。
  • 10 の桁…ここを2にすれば、25の内20は表現できる。残り5。
  • 1 の桁…ここを5にすれば、残りの5を全て表現できる。

→125
と表すことができます。

2進数もこれと同じです。
例えば、7を2進数で表す時は

  • 2*2*2の桁…8より小さいのでここには何も入らない。
  • 2*2 の桁…ここを1にすれば、7の内4は表現できる。残り3。
  • 2 の桁…ここを1にすれば、3の内2は表現できる。残り1。
  • 1 の桁…ここを1にすれば、残りの1を全て表現できる。

→111(2)
と表すことができます。


いかがでしたでしょうか。

参考書では、以上のような説明がされることは意外と少ないと思います。
何かを説明する時に、色々な角度で説明すると理解が深まる場合があるので、今回は独自の角度での説明を書いてみました。

参考になれば幸いです。

自社の製品を俯瞰的に考える思考フレームワーク「プロダクトポートフォリオマネジメント」

今回はプロダクトポートフォリオマネジメントについてです。
市場成長率と市場シェアを元に投資戦略を考えるためのモデルであり、市場成長率を考えるという点では前回書いたプロダクトライフサイクルとも通じる部分があります。

プロダクトポートフォリオマネジメントでは、下記のように「問題児」「花形商品」「金のなる木」「負け犬」の4つの象限に分けて考えます。

4つの象限について、以下で2010年頃の携帯市場の例を挙げて説明します。

・問題児

市場成長率は高いが市場シェアが低い商品。
投資を強化し、市場シェアを拡大を図り、花形商品とすることが有効になる。
アップル以外のスマホがこの象限に該当する。

・花形商品

市場成長率も市場シェアも高く、大きな収益を得られる商品。
競争が激しいため、市場シェア維持のための投資は必要となる。
アップルのスマホがこの象限に該当する。

・金のなる木

市場成長率は低いが市場シェアは高い商品。
花形商品の市場の成長が止まると、金のなる木になる。
市場シェア維持のための投資は不要で安定した収益を得られるため、投資のための原資を得ることができる。
現在も製造を続けているガラケーがこの象限に該当する。

・負け犬

市場成長率も市場シェアも低い商品。
今も今後も収益を得られる見込みがないため、撤退の検討が必要になる。
撤退を決断したガラケーがこの象限に該当する。


いかがでしたでしょうか。

「プロダクトポートフォリオマネジメント」の考え方を用いると、自社のサービスを俯瞰して戦略を立てることができるようになります。
市場成長率が高い市場に進出して(問題児)、投資を強化してシェアを増やし(花形商品→金のなる木)、そこで得た収益を次の投資へ回す、というのが基本的な戦略になります。
花形商品は将来的には金のなる木になりますが、次第に市場自体が縮小し、収益が低下します。そうなる前に次の市場にチャレンジする必要があります。
IT業界で言うと、昔作ったシステムの保守・運用ばかりになってしまうと危険信号です。市場が縮小する前に、収益を元にして次の市場にチャレンジしないと、後々経営が悪化する可能性があります。

思考フレームワークの記事についてはこれで一区切りとし、次回からは別のネタを書いていこうと思います!

自社の製品の段階を考える思考フレームワーク「プロダクトライフサイクル」

今回はプロダクトライフサイクルについてです。
これまで説明してきた市場分析や戦略策定の理論とは少し毛色が変わり、製品の売上高の推移に着目した分析手法になります。
製品・サービスが陳腐化した時に、製品・サービスを更改するなり撤退するなりはどの企業も行っていると思うので、意識せずともプロダクトライフサイクルに則った意思決定をしていると思います。

プロダクトライフサイクルでは、製品が、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階を経るとされています。
売上高は、下記のように推移します。


4つの段階について、下記で説明します。

・導入期

製品の認知度が低く、需要も少なく、売上や利益が上がらない状態。
製品の認知度を上げ、需要を掘り起こすことが重要になる。

・成長期

需要の掘り起こしに成功し、売上や利益が急上昇するが、市場への新規参入も増える。
新機能搭載やブランドイメージ確立等で、シェアを拡大することが重要になる。

・成熟期

需要の掘り起こしが一段落し、市場の拡大が見込めなくなった状態。
売上や利益は上昇しなくなる。
製品間で機能の違いが見られにくくなり、限られたパイでの顧客の奪い合いが発生する。
ブランドイメージの保持や低コスト化が課題となる。

・衰退期

需要が別の製品に移り始め、市場が縮小する時期。
売上や利益が低下する。
このフェーズでは、保守的顧客に対して最低限必要な製品・アフターサービスのみを提供するようになり、撤退への準備を開始する必要も生じ始める。


直近の例で言うと、日本でのガラケーの売上高の推移を想像するとイメージがつきやすいと思います。

なお、実務の上では、上記理論に当てはまらない製品も存在することに注意が必要です。
導入期で終わる製品はいくらでもありますし、超ロングセラーで衰退期が存在しない製品も存在します。


いかがでしたでしょうか。

「プロダクトライフサイクル」の考え方を用いると、自社の戦略を時系列で考えることができるようになります。
例えば、現在儲かっていたとしても、儲けを出している製品の段階が成熟期や衰退期に位置しているのであれば、その製品の低コスト化や最低限のサービスの維持をしつつ、新たな製品を開発するべき、という判断をすることができます。

思考フレームワークの記事については、次回で一旦一区切りとしたいと思います!

市場に対するアプローチを考える思考フレームワーク「アマゾフの成長マトリクス」

サービス戦略を考える上では、どのような市場に対してどのようなサービスでアプローチするのかを考えることも重要です。
今回の記事では、アプローチ法を考える上で役に立つ思考フレームワークである「アマゾフの成長マトリクス」について説明していきます。

アマゾフの成長マトリクスは市場と商品に着目して戦略を分類したものであり、これまで進出してきた市場であるか否か、これまで作ってきた商品であるか否かによって以下の4つの戦略に分類しています。

これらの4つの戦略について、例も挙げて以下で説明します。
例は、イメージしやすいように実在する企業の例を挙げます。
(この例については、筆者独自の見解です)

・市場浸透

現在行っている他社との競争に勝つことにより、シェアを高める戦略。
良質なゲームソフトで市場を席捲したファミコン~スーパーファミコン時代の任天堂、ハンバーガーの価格を下げシェアを高めたマクドナルド等の例が挙げられる。

・市場開拓

現状の商品を新しい市場へ売り込むことで成長を図る戦略。
スピード感を感じられるゲームをアメリカに輸出し成功したメガドライブ時代のセガ、医療用流動食を一般向けに売り出し成功した明治の等の例が挙げられる。

・新商品開発

既存の市場に対して新商品を投入して成長を図る戦略。
既存のファミリー層に電気自動車を売り出したトヨタ自動車、ガラケーを愛用する高齢者にガラホを売り出した通信事業者等の例が挙げられる。

・多角化

新しい市場へ新しい商品を売り出し成長を図る戦略。
4つの戦略の中で最もリスキーであり、コアコンピタンスに裏付けされているか否かが他の戦略以上に重要になる。
わかりやすい例として、コアコンピタンスである撮影技術を活かしメディカル分野への医療機器販売を成功させた富士フィルムの例が挙げられる。


いかがでしたでしょうか。

市場へのアプローチを考える上では、自社のサービスを未知の市場に売り出せるかどうか、現在の市場に向けて新サービスを提案できそうかどうか、という視点で考えるのが重要ですし、そのような視点で考える上で「アマゾフの成長マトリクス」は役に立ちます。
筆者自身も、このような視点で議論することで「伝統的な金融機関向けの機関システムについて、外部公開用のAPIを作成し、金融ベンチャー向けに一部機能を公開する」という戦略が生まれた、という実例を見ており、このような視点で考えることの重要性を実感しています。

思考フレームワークについては、あと2回ほど続けて記事を書きたいと思います!