磁気ディスクの構成とアクセス方法

今回は、磁気ディスクの構成とアクセス方法について、わかりやすく図解してみました。

ITパスポートや基本情報処理技術者では頻出ですので、これらの試験を受けるのであれば是非理解しておいた方が良いです。
実務ではあまり使うことはないと思うのですが、全く使う機会がないわけではありません。
例えば、メインフレームで磁気ディスクの容量計算を行う時にこの知識が必要になりますし、フラグメンテーションとデフラグは普通にPCを使っていても知っておいた方が良いことです。

・磁気ディスクの構成

・磁気ディスクのアクセス方法


いかがでしたでしょうか。

ITパスポートを受験する知人の様子を見ていて、磁気ディスクは馴染みが無くて少し難しいと感じたので、今回の記事を執筆しました。
もしかしたら試験では理解できずに丸暗記で済ませてしまった知識かもしれませんが、知っておくに越したことは無い知識です。
今回の記事を通して、磁気ディスクについての知識が少しでも広まれば幸いです。

これからも、試験や実務で役に立つ知識を発信していきたいと思います!

ExcelのVLOOKUP関数の高速化

今回はExcelの小技ということで、検索でよく使うVLOOKUP関数の高速化についてです。

VLOOKUP関数は、第四引数にTRUEかFALSEかを設定します。
通常はFALSEで使用すると思うのですが、TRUEを指定するとあいまい検索になります。
「あいまい検索」と言われると部分一致検索のようなものを思い浮かべるかもしれませんが、実際は二分検索だそうです。
二分検索については情報処理技術者試験でも出題されるので各自調べてほしいのですが、平たく言うと検索対象のデータが昇順にソートされていることを条件に高速に検索する方法です。
Excelの場合は文字コード(SJIS)の昇順に並べる必要があります。

FALSEの場合は線形検索(上から順次検索)になるので、検索対象のデータ量がN倍になると検索にかかる時間もN倍になります。
しかし、TRUEの場合は二分検索になるので、検索対象のデータ量がN倍になっても検索にかかる時間はlogN(底は2)倍の増加で済みます。
例えば、データ量が2倍になった場合は、FALSEだと2倍の時間がかかるようになりますが、TRUEだと1.414…倍になります。データ量が3倍になった場合は、FALSEだと3倍の時間、TRUEだと1.732…倍になります。

注意点としては、TRUEにした場合は満たす値が無かった場合にも値を返すようになるということがあります。
検索条件を満たす値が無かった場合は、満たす値未満の最も大きな値を返します。
例えば、以下のようにデータ並んでいて11を検索した場合は、けが返ります。
10 け
12 こ

FALSEの場合と同じように一致するデータが無かった場合に#N/Aとしたい場合は、以下のようにする必要があります。
=IF(VLOOKUP(検索値,範囲,1,TRUE)=検索値,VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,TRUE),NA())
まずは検索条件と同じデータが存在するかどうかを調べ、存在する場合のみ検索をする、存在しない場合は#N/Aとする、ということをしています。
VLOOKUP関数を2回発行しているのでデータ量が少ないとFALSEの場合よりも時間がかかる場合もありますが、データ量が増えてくると効果を発揮します。

ここで注意点なのですが、漢字をキーにして検索する場合は、フィルタからの並び替えは不可です。
フィルタから並び替えると、文字コードの昇順ではなく、読み仮名の昇順に並んでしまうためです。

漢字を文字コードの昇順に並び替えるためには、以下の手順を踏む必要があります。

1.「データ」タブ→「並び替え」を選択

2.「オプション」を選択

3.「ふりがなを使わない」を選択

4.「列」を当該列、「並び替えのキー」を「値」、「順序」を「昇順」とする

5.「OK」を押下すると文字コードの昇順に並び替えられる


いかがでしたでしょうか。

VLOOKUP関数は普段の業務でも良く使用する関数だと思うのですが、調べてみると意外と奥深いことがわかります。
二分検索を使用した高速検索、漢字の文字コード順の並び替えについては、知っておいて損はないと思います。

業務で役に立つ小ネタがありましたら、また紹介しようと思います!

java8:関数型インターフェースの背景にある考え方

【前置き】

Java8から関数型インターフェースが使用可能になりました。
具体的に「ラムダ式」「Stream」「Optional」「Files」と言った方がわかりやすいでしょうか。

関数型インターフェースの使用を半ば強制されるフレームワークが登場していたり(例:Apache Spark)、関数型インターフェースでJavaを書く開発者も増えてきたので、目にすることも多くなってきたかと思います。

関数型インターフェースは関数型プログラミングをサポートするものであるため、従来からJavaでサポートされていたオブジェクト指向プログラミングとは発想が異なります。
そのため、従来のJavaを学習してきた方にとっては抵抗感を感じるものであると思います。

今回の記事では、抵抗感を少しでも減らすために、関数型プログラミングの考え方を簡単に紹介したいと思います。

【サンプルコード】

言葉で説明するよりも先にサンプルコードを見た方がわかりやすいと思うので、サンプルコードを先に紹介します。
年齢のリストから30代の人数を数える、というプログラムです。
ごく短いプログラムですので、お付き合いください。

・FunctionTest.java

・実行結果

【関数型プログラミングの考え方】

関数型プログラミングでは、以下のことを実現しようとしています。
色々難しい用語(例えば「副作用」等)はあるのですが、今回は用語を使わずに簡潔にまとめます。

・内部状態(State)を排除する

最も本質的な考え方です。

関数型プログラミングでは、内部状態を排除することを目的としています。
「内部状態」とは、上記のコードで言うと「count」や「i」を指します。

内部状態が入りこんでしまうと、内部状態により関数の結果が変わってしまうため、内部状態を把握する必要が出てきてしまい、可読性が悪化します。
(把握のために「count」や「i」をトレースする必要が出てきてしまう)
把握しきれずに意図しないバグを出してしまうことも珍しくありません。
内部状態を排除して、品質を上げよう、という発想です。

また、コンピュータにとっては内部状態は重要ですが、人間にとってはやりたいことを実現できれば良く、内部状態は重要ではありません。
重要ではない記述を削減することでコードを完結にしたい、という発想もあります。

Java8のラムダ式では、ラムダ式の外部で定義された変数の値をラムダ式の内部で変更することを禁止されています(コンパイルエラーになる)。
その背景には、内部状態の排除があると思っています。

・自然言語に近い形で処理を記述する

これは、コードが簡潔になった結果生じた副次的な考え方かもしれません。

関数型プログラミングでは、関数を組み合わせることにより処理を実現します。
関数を次々とつなぎ合わせるように記述することで、ソースコードが自然言語に近い形になります。
わかりやすく言えば、ソースコード自体がコメントのようになります。

例えば、サンプルコードでは「年齢のリストから30代の人数を数える」という処理を行おうとしています。
従来のプログラミングでは、これを実現するためにforループとかカウント用の変数を使用しており、何をしているのか把握するためには、内部状態をトレースして意図を汲み取る必要があります。
しかし、関数型プログラミングでは、
「list.stream().filter(x -> x >= 30 && x <= 39).count()」→
「listを30<=x<=39でfilterしてcountする」
と読めるため、
「年齢のリストから30代の人数を数える」
という処理であることを自然に把握することができます。


いかがでしたでしょうか。

IT業界、特にSIer業界だと、情報処理技術者試験を軸にして知識を身に付けることが多いかと思います。
しかし、情報処理技術者試験では手続き型プログラミングやオブジェクト指向プログラミングを中心とした出題で、関数型プログラミングが扱われることは全く言って良いほどありません。
そのためとっつきにくさは拭えないと思いますが、先進的な企業を中心に関数型プログラミングを取り入れる企業も出てきています。
これからのことを考えると、せめて、関数型プログラミングに対する抵抗感は払拭するべきではないかと思っています。

今回はこれで締めくくりたいと思います。
では、また来週!

保守性の高いコードを作成するために心がけるべきこと

ソースコードは作って終わりではなく、その後何年、何十年にもわたって保守開発が行われます。
また、保守開発を行う開発者もその間に入れ替わります。
ソースコードを作る際は、このことを踏まえて高品質・低コストで保守開発ができるようにする必要があります。

難しい話をするとデザインパターンやフレームワークの話になるのですが、今回は新人も含めて最低限心がける必要があることを挙げていきます。

1.適切な変数名やメソッド名を与える

変数名・メソッド名を与える際は、その変数やメソッドが何をするのかわかるような名前にする必要があります。
例えば、「a」や「hoge」といった変数名は不可で、「loopEndFlag」や「commodityCode」といった意味のある変数名にする必要があります。

また、現場毎で命名規則が決められていることも多いので、それに倣った命名をする必要があります。
命名規則を無視すると、他のソースコードとの統一性が失われて読みにくいソースコードになったり、影響分析等のためにキーワードで検索する時に引っかからなくなったりします。

2.適切にコメントを記述する

コメントを入れることで、その箇所で何をしているのかがわかりやすくなります。
しかし、コメントを入れれば良いというものではなく、意味のあるコメントである必要があります。

例えば、

といったソースをそのまま日本語にしただけのようなコメントは不可で、

といった業務的な意味を書く必要があります。

また、ソースコードの先頭には「ソース名」「処理概要」「変更日」「変更概要」「変更者」といった情報を記述するのが一般的です。
メソッドの先頭には「メソッド名」「処理概要」「引数」「戻り値」「出力され得る例外」といった情報を記述するのが一般的です。

コメントの書き方も、現場毎で決まっていることが多いです。

3.分かりやすいロジックを心がける

保守開発の際にソースコードのロジックを読み解くことも多いので、if文のネスト(if文の中のif文)が多すぎる、goto文で制御があちこちに飛ぶ、といったロジックが分かりにくくなるような書き方も避けた方が良いです。
また、if文やfor文等を使う際は、インデント(左側のスペース)を適切に入れて、構造が分かりやすくなるようにした方が良いです。
(インデントの入れ方は各言語の入門書を真似れば良いです)

なお、新人の内はあまり気にする必要はありませんが、使用する文法も入門書に載っているものを中心にした方が無難です。
自分の現場で広まっているなら良いのですが、そうでないのに新しい文法やマイナーな文法を使うと、他の開発者(特に新人)から見て理解しにくくなることがあります。

4.ハードコーディングは原則禁止

ハードコーディングとは、マスタデータをソースコードの中に持たせることです。

例えば、

のような書き方は不可で、商品コードの一覧を持たせたいなら、データベースやファイルに持たせてそこから取得するべきです。

マスタデータは、追加や修正や削除が行われることがあります。
マスタデータをデータベースやファイルに持たせていない場合、追加・修正・削除が行われる度に、ソースコードを修正しコンパイルする必要が出てきて保守工数が増加します。

更に言うと、マスタコード読み込みのような色々なソースコードで使われる処理は、共通処理として別のソースコードに切り出すべきです。
これをしないと、修正する際に修正漏れが発生する可能性が高くなります。
大抵の場合、使うべき共通処理は現場毎やプロジェクト毎で決められているので、それに従う必要があります。

5.仕様書とソースコードを合わせる

仕様書には、ソースコードがどのような意図で作成されているのか、他のソースコードとどのような連携をしているのか、等の設計思想が記載されています。
しかし、仕様書がソースコードと乖離していた場合、仕様書から調査する時に実際の実装を誤って理解してしまいます。 そのことにより、保守開発でバグが生まれる原因になります。
それを防ぐために、ソースコードが仕様書から乖離した時は、仕様書もソースコードに合わせて修正するべきです。


いかがでしたでしょうか。

学生時代からコーディングしていたという人は少なからずいらっしゃると思うのですが、今回述べたことは学生時代のコーディングでは習慣として身に付きにくい所だと思います。
(私が新人だった頃もコーディング経験者の同期がいたのですが、その同期が研修で書いたコードを見ると、変数名が「a」とか「b」とかの適当な名前で、ソースコードが読み辛かったのが記憶に残っています)
同じソースコードを担当者を変えながら何年も何十年も保守開発していくのは社会人ならではだと思いますので、保守しやすいソースコードを書く習慣が身に付いていない方は、保守のしやすさを是非意識していただければと思っています。

では、また来週!