続・singletonとstaticの違い

こちらの記事について社内外でちょっとした議論になったので、その内容をまとめてみました。
Singletonパターンを利用する理由は「外部からnewさせたくないから」だと思っていましたが、「そう書いた方がわかりやすいから」「staticではないメソッドも利用可能になるから」という理由の方が大きそうです。

【指摘】

・privateコンストラクタを持った時点でnewできない

newさせたくないだけなら、オブジェクト取得メソッドは不要。
Singletonパターンで無くても良い。

・Singletonパターンの思想の表現としてオブジェクト取得メソッドが必要

書籍ではSingletonパターンはオブジェクト取得メソッドが必要とされている。
確かに、privateでオブジェクトを1つ生成、外部にはメソッド経由で提供する、とすれば、「オブジェクトは1つのみ存在する」という思想をわかりやすく表現できる。
人によってstaticの方が分かりやすいかSingletonパターンの方が分かりやすいかは違うと思うが、オブジェクト指向に慣れた技術者であればSingletonパターンの方が設計思想が分かりやすいというのはありそう。

・Singletonパターンだとstaticではないメソッドも参照可能になる

Singletonパターンであればクラスへの参照ではなくオブジェクトへの参照となる。
そのため、staticではないメソッドの参照も可能となる。
具体的には、継承・オーバーライドができるというメリットがある。

【サンプルコード】

・StaticMemory.java

・SingletonMemory.java

・SingletonMemoryChild.java

・MemoryTestMain.java

【実行結果】


この話、社内でちょっとした議論になりました。
おかげで色々理解が深まりました。

議論のきっかけを作れるというのも、技術ブログの良い所だと思いました。

java:実務で使うテクニックでfizzbuzzを解いてみた

10年ほど前に流行ったプログラミングの問題として、fizzbuzzと呼ばれる問題があります。
この問題は、応募者のプログラミング経験の有無を見極める問題であり、問題の内容は以下の通りです。
・1から100までの数を出力する。
・3の倍数の時は代わりに”fizz”と出力する。
・5の倍数の時は代わりに”buzz”と出力する。
・3の倍数かつ5の倍数の時は代わりに”fizzbuzz”と出力する。

「実務ではfizzbuzzのようなプログラムを書くことは無いから解けなくても良い」という意見もあるようですが、個人的にはfizzbuzzで使うテクニックは実務でも使えると思っています。

以下では、実務でも使うテクニックを用いてfizzbuzzを解いてみます。
(言語はjavaです。今回の記事の趣旨上、トリッキーな解答は除外します。)

・剰余を用いた一般的な解答パターン

恐らく、これが一番自然な解答なのではないかと思います。
剰余を用いて、「n % m == 0」と記述することで、「m毎に何かをする」という記述が可能になります。
性能の観点で、一定のデータが溜まってからまとめてログ出力やデータベース書き込みを行うことがあるのですが、そのような処理を記述する時に使えます。
その他、テストデータを生成する時にも、この書き方を用いると楽になる場合があります。
(例えば、100個データを用意し、その内偶数のデータについては特定のフラグが立ったデータにする等)

・同じ分岐の記述を避けるパターン

先に挙げた解答では「3の倍数の時」「5の倍数の時」の分岐が2回ずつ出現し、若干冗長なので、このように同じ分岐の記述を避ける解答もあります。
同じ分岐を複数記述すると、保守性が低下します。
(例えば、「3の倍数」を「4の倍数」としたい時に、修正漏れが発生する可能性が出てくる)
プログラマーは保守性にも気を配るべきなので、個人的にはこちらの解答の方がよりプログラマーっぽいと思っています。

・除算と乗算を組み合わせるパターン

剰余を使わずとも、整数型は小数点以下切り捨てになるということを知っていれば、このような解答を記述することもできます。
除算で小数点以下の切り捨てが発生する場合、同じ数で乗算を行っても元の数に戻らないので、それを利用しています。
除算による切り捨てを実務で用いる場合もあり、例えば100未満の位を切り捨てしたい場合は、「n = n / 100 * 100」と記述したりします。逆に切り上げたい場合は、「n = (n + 99) / 100 * 100」となります。
現代のプログラミング言語では切り捨てや切り上げを行う便利な関数が用意されているのでこのような書き方をすることは少ないですが、このような書き方を知らないと他の人のプログラムを読んでいて困ることがあるので、知っておいた方が無難です。

・カウンターを持たせるパターン

fizz用のカウンターとbuzz用のカウンターを持たせて、カウンターを上手く制御すると、剰余や切り捨てを利用しなくても解答を記述できます。
実務では、カウンターの数字自体に意味がある場合にこのような書き方をします。
例えば、「ログ1→ログ2→ログ3→ログ1…とローテーションさせたい」という場合に、「ログ1」「ログ2」「ログ3」の数字部分にカウンターの値をそのまま用いることができます。


いかがでしたでしょうか。

今回紹介した問題は難しくないものですが、その解き方で個性やテクニックを発揮することができそうなので、今回は色々と解答を紹介してみました。
実務で役に立つ問題があれば、これからも紹介していきたいと思います!

型推論とは

型推論とは、メソッド内のローカル変数を初期値付きで(右辺がある状態で)宣言する際に、通常の型宣言の代わりに”var”という仮の型を使用できるという文法です。
“var”を用いた際は、コンパイル時に自動で型を判断し、その型への置き換えが行われます。

C#では3.0(2007/11)から導入されており、現在ではお馴染みの文法と言えるでしょう。
Javaでは長らく導入されていませんでしたが、10(2018/03)でついに導入されました。
今後はJavaの案件でも目にすることが増えると思います。

型推論を用いることで、冗長な型宣言をすっきりさせることができます。
C#の例で言うと、下記のコードで、定義時に”List”と型を指定している箇所は、”var”に書き変えることができます。

また、ソース修正で型を変えるような場合にも、”var”と記述した部分は変更する必要がなくなるので、ソース修正が楽になるというメリットもあります。


型はコンパイル時に決まるため、実行時に動的に型が変わることはありません。
例えば、下記のようなコードはコンパイルエラーになります。
((22,20): error CS0029: 型 ‘int’ を型 ‘System.Collections.Generic.List’ に暗黙的に変換できません。)
誤って意図しない型を代入しようとした場合はコンパイル時にエラーとして検知できるので、その意味では安心して使えます。

ちなみに、「型推論」と似た概念として「動的型付け」というものがあるのですが、こちらは途中で異なる型を代入すると変数の型そのものが変わり処理が続行されます。
例えば、JavaScriptでは動的型付けが採用されており、予約語も”var”を用いるため、「型推論」と混同されがちです。
「動的型付け」の方は誤って意図しない型を代入しても実行するまで気付くことができず、実行時に出るエラーが分かりにくいものだったり、そもそもエラーが出ないこともあるので、注意が必要です。


以上のように便利な型推論ですが、可読性を落とすデメリットもあります。
具体的に言うと、変数宣言時の型が一目瞭然ではない場合に用いると可読性を落とします。

例えば、下記のコードで変数宣言時の型を知るためには、”MyFunc”の仕様を知っている必要があります。
“MyFunc”のような独自の関数でなくても、チーム内での知名度が低い関数を用いる場合は注意が必要です。

また、”int”や”string”のような基本的な型に対して用いるのも、元々型宣言が冗長ではないという意味で型推論を使用するメリットが少ないので、他の開発者に違和感を抱かせてしまう可能性があります。


いかがでしたでしょうか?

「型推論」は便利ながらも、「動的型付け」のように実行時エラーを引き起こす原因を作ることはないので、安心して使える文法だと思います。
その使いやすさからJavaでも今後目にする機会が増えると思うので、このような文法があるということは頭に入れておいて損はないと思います。

Javaのバージョンは今でも上がり続けているので、新しい便利な文法があればこれからも紹介したいと思います!

Eclipse + Maven で Apache POI を用いてExcelファイルを出力する環境の構築(HelloWorldまで)

Apache POI を用いることで、javaでExcelファイルを出力するプログラムを作成することができるようになります。
今回は、環境設定を行い、HelloWorldを試す所まで記事にしました。
ライブラリを落としてきたりパスの設定をするのに手間がかかるので、今回は Eclipse + Maven で設定を行っています。

【Mavenプロジェクトの作成】

1.Eclipseを立ち上げ、ファイル > 新規 > Mavenプロジェクト を選択。

2.「シンプルなプロジェクトの作成」「デフォルト・ワークスペース・ロケーションの使用」にチェックを入れて次に進む。

3.グループIdに任意の名前(プロジェクトを一意に識別する名前)、アーティファクトIdにプロジェクト名を入力し、完了を押下する。

4.作成されたプロジェクトについて、JREシステム・ライブラリー > プロパティー を選択。

5.適切な実行環境を設定(今回は「JavaSE-1.8」を選択)

【ライブラリのインストール・設定】

1.作成されたプロジェクトに存在するpom.xmlを開き、下記のように入力する。


<project xmlns=”http://maven.apache.org/POM/4.0.0″ xmlns:xsi=”http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance” xsi:schemaLocation=”http://maven.apache.org/POM/4.0.0 http://maven.apache.org/xsd/maven-4.0.0.xsd”>
  <modelVersion>4.0.0</modelVersion>
  <groupId>hoge</groupId>
  <artifactId>ProjectName</artifactId>
  <version>0.0.1-SNAPSHOT</version>
  <dependencies>
    <dependency>
      <groupId>org.apache.poi</groupId>
      <artifactId>poi</artifactId>
      <version>4.1.2</version>
    </dependency>
    <dependency>
      <groupId>org.apache.poi</groupId>
      <artifactId>poi-ooxml</artifactId>
      <version>4.1.2</version>
    </dependency>
    <dependency>
      <groupId>org.apache.poi</groupId>
      <artifactId>poi-ooxml-schemas</artifactId>
      <version>4.1.2</version>
    </dependency>
  </dependencies>
</project>



dependenciesタグを自分で追記する。

dependencyタグ内の記述については、自分で調べる場合はMVNrepositoryで調べる。ライブラリ名で検索すると、dependencyタグの記述する内容が記載されているページにたどり着く。

2.pom.xmlを保存すると、dependencyタグに記載されたライブラリが自動的にインストール・設定される。

【Excelファイルを出力】

1.src/main/java 直下で右クリックし、新規 > クラス を選択。その後、クラス名(今回は「POITestMain」)を入力し、クラスを生成する。

2.下記のようにソースを記述する。

3.クラスを実行すると、ソース内で記述したパスに下記のような内容のファイルが生成される。


実行時にjava.lang.NoClassDefFoundErrorが出る可能性があります(私の環境では出ました)。
その場合は、Eclipseを一度落とし、C:\Users\ユーザ名\.m2 にある repository フォルダを削除し、もう一度Eclipseを立ち上げ、プロジェクトで右クリック > 実行 > Maven Clean を実施し、pom.xmlをもう一度保存し直したりしてみて下さい。
良く起こる事象のようで、「Maven NoClassDefFoundError」でWebで検索すると色々情報が出てきます。


いかがでしたでしょうか?

Apache POIはよく使われているライブラリのようで、Webで検索すると色々と情報が見つかりますが、導入するまでの所で意外とつまずくポイントが少なくないと感じたので、今回の記事を執筆しました。
個人的に、新しい技術を学ぶ時には、「概要の理解→導入→できる限りシンプルなコードで動作確認(多くの場合はHelloWorld)」という流れを大事にしています。
(動いて終わりではなく、なぜ動いたのかを自分で調べて理解することが大事です)
ここまでできれば、詳しい使い方を調べてコードを付け加えていくことで、実務にも耐え得る成果物を作ることができるからです。

これからも、技術を導入する際に役に立つ記事を書いていきたいと思います!

java:walkFileTreeメソッドの使い方

walkFileTreeメソッドとは、ディレクトリ構造を再帰的に走査するメソッドです。
Java7で追加されたFilesクラスが提供するメソッドの一つであり、比較的新しいメソッドです。
(このメソッドの提供により、ディレクトリ構造については自力でCompositeパターンを組む必要がなくなりました)

walkFileTreeメソッドの引数は2つあり、1つ目は起点となるパス、2つ目はFileVisitorインターフェースです。
FileVisitorインターフェースにはディレクトリ構造を走査した際の処理が定義されており、FileVisitorインターフェースを利用者が実装することでディレクトリ走査時の具体的な処理内容を記述可能になります。

以下、サンプルコードです。
詳しい使い方はWebを調べると出てきますので、必要に応じて調べてみると良いでしょう。

【サンプルコード】

・FileVisitorTest.java

・WalkFileTreeTestMain.java

【テスト用ディレクトリ構造】

【実行結果】


いかがでしたでしょうか?

Java7がリリースされてからもう10年近く経ちますが、Javaを昔に勉強した人だとJava7(やJava8)の知識が抜けていることが意外と少なくないと思います。
しかし、Java7では、今回紹介したwalkFileTreeメソッドのように便利なFilesクラスが提供されています。
勉強し直すのは面倒かもしれませんが、新機能を使うことによりコードを簡潔に、かつ安全にすることができるので、勉強する価値はあると思います。

これからも、JavaやC#等で提供されている便利な文法を紹介していきたいと思います!