スタック・キューの説明と使い所

データをメモリに一時的に保持する仕組みとして、スタックとキューがあります。
今回はスタックとキューについて、どのようなものなのかの説明と使い所を書いていきます。


スタックは先入れ後出し、キューは先入れ先出し方式でデータを保持します。
例えば、a,b,cの順番でデータを投入する場合、スタックはc,b,a、キューはa,b,cの順番でデータが取りだされます。
なお、スタックにデータを入れる操作はプッシュ、スタックからデータを取り出す操作はポップ、キューにデータを入れる操作はエンキュー、キューからデータを取り出す操作はデキューと呼びます。
以下、イメージ図です。

・スタック

・キュー


スタックが使われる代表的な場面としては、関数呼び出し時に戻り先を保持する場面が挙げられます。
例えば、以下のような構造になっている場合

関数g()が呼び出された時点でスタックに①のアドレス、関数h()が呼び出された時点でスタックに②のアドレスが戻り先として保持されます。
そして、関数h()が終了した時点でスタックから戻り先として②のアドレスが取り出され、関数g()が終了した時点でスタックから戻り先として①のアドレスが取り出されます。

余談ですが、以下のように再帰呼び出しになっている時は注意が必要です。
ループ終了条件を満たさないまま大量の再帰呼び出しを行った場合、戻り先アドレスのサイズがスタックのサイズを超えてしまい、プログラムが異常終了してしまいます。


キューが使われる代表的な場面としては、マルチスレッドの制御を行う場面が挙げられます。
1つのスレッドの処理が「①軽い処理→②重い処理」となっており、かつ①の処理を先に行ったスレッドが②の処理を先に行う必要がある場合、①と②の間にキューを入れて対応します。
①の処理は処理が終わるごとにキューの中にスレッドのオブジェクトを格納し、②の処理は処理が終わる毎にキューの中のスレッドのオブジェクトを取り出し次の処理に移ることで、①の処理と②の処理の速度差を吸収することができます。


いかがでしたでしょうか?

スタックやキューはITパスポートにも出題される基礎的な概念ですが、実際にプログラミングで意識する場面は少ないと思います。
今回の記事では、実際のプログラミングではどのような場面で意識するのかも参考のため書いてみました。

C#:await・asyncの簡単なサンプルコード

C#のawait・asyncは非同期処理のために用意された文法なのですが、Webで調べてみても難しく書かれていることが多く、そもそも何のための処理なのか理解するのが難しい感があります。
await・asyncを用いて関数を呼び出しても、その関数の処理が終わるまで待つという動きをするので、同期処理と何が違うのかいまいちわかりにくいというのもあると思います。
以上のような背景があるので、簡単なサンプルコードを書いてみることとしました。

await・asyncは、GUIアプリのために用意された文法と考えて良いです。
await・asyncを用いない場合、処理中はGUI操作ができなくなるのですが、await・asyncを用いて呼び出した関数を処理している間はGUI操作が可能になります。
GUI操作と並行で処理ができる、という意味で、await・asyncは非同期処理であると言えます。

以下、Windows Formのサンプルコードです。
3秒後にボタン押下時のシステム時刻をラベルに表示するというサンプルコードであり、await・asyncを用いたボタンとそうではないボタンを用意して挙動の違いを確認します。

【サンプルコード】

・From1.cs(デザイン)

・Form1.cs(ビジネスロジック)

【実行結果】

・Asyncボタンを押してから1秒以内にNoAsyncボタンを押下

→Asyncボタンの処理中もNoAsyncボタンを押下可能であるため、2つのボタンに対応するラベルの表示上、時刻の差異は1秒以内です。

・NoAsyncボタンを押してから1秒以内にAsyncボタンを押下

→NoAsyncボタンの処理中はAsyncボタンを押下不可能であるため、2つのボタンに対応するラベルの表示上、時刻の差異は3秒以上となります。


いかがでしたでしょうか。

説明を読んでも関数の挙動や目的がわからなかったのですが、自分で簡単なプログラムを作って動かしてみて理解できました。
今回の記事はC#でGUIのプログラムを作っている人以外には参考にならない記事だったかもしれませんが、簡単なプログラムを作って理解を深める例を示すことはできたのではないかと思っています。

Windows環境でツールを入れずにMySQLのUTF-8の日本語項目を操作する

Windows環境でMySQLを使う場合、UTF-8の日本語項目の操作が難しいです。
というのも、コマンドプロンプトでMySQLを操作する場合、chcpコマンドでコードをUTF-8(65001)に設定してしまうと日本語が扱えなくなってしまうためです。
(コマンドプロンプトでUTF-8に設定した場合、レジストリで設定変更しない限り日本語のフォントを使えなくなってしまう。日本語を入力することができず、出力時も文字化けする。)

ツールを入れればこの問題は解消するのですが、ツールを入れるのが面倒な場合は、UTF-8で書かれたテキストファイル(.sql)とバッチファイル(.bat)を組み合わせることで日本語項目を操作することができます。
以下、日本語項目をinsert・selectする例です。mysql.exeへのパスは通っているものとします。

【前提】

・データベースのユーザとパスワード

ユーザ  :root
パスワード:root

・データベース名(スキーマ名)

sample

・対象テーブル(DDL)

【insertする例】

・Insert.sql

・Insert.bat

・バッチファイルをダブルクリックした結果

userテーブルにデータが挿入される。日本語項目も正しく挿入される。
(後のselect結果で確認する)

【selectする例】

・Select.sql

・Select.bat

・バッチファイルをダブルクリックした結果

C:\tmp\hoge.txt に下記のように出力される。
(出力ファイルはtab区切り・改行コード\n)


いかがでしたでしょうか。

自宅PCで立てた環境での話を記事化したものですが、まさかコマンドプロンプトでUTF-8の日本語のフォントが扱えないとは思いませんでした。
Windows環境なのであれば、初めからShift-JISで実装した方が楽かもしれません。

C#:セマフォを用いた排他制御

排他制御の仕組みとして先日Mutexを取り上げました
今回は、同じく排他制御で使われるセマフォについて取り上げます。

セマフォがMutexと異なる点は、複数のプロセス・スレッドが資源を取得することができることです。
セマフォのコンストラクタで初期で解放する資源数や、解放できる資源の最大数を指定します。
WaitOne関数で資源取得待ちを行い、Release関数で資源解放を行います。Release関数の引数で資源解放数を指定することもできます。
(ただし、最大数を超える資源を開放するとSemaphoreFullExceptionとなるので注意が必要です)

セマフォは、同時に動くスレッド数を制限したいような重い処理がある時によく使われます。

以下は、セマフォを用いて同時に動くスレッド数を制限するサンプルです。

【サンプルコード】

・Controller.cs

・Processor.cs

【実行用バッチ】

・test.bat

【実行結果】

・test.bat

・Controller.exe

・Processor.exe


いかがでしたでしょうか?

排他制御の仕組みとしてMutexを説明したので、ついでに代表的な方法の一つであるセマフォについても説明しました。
Mutexよりも使用頻度は少ないと思いますが、同時に動くスレッド数を制限するための書き方があるというのは覚えておいて損はないと思います。

趣味としてのプログラミングの楽しさ

こんにちは!
技術ブログで記事を書かせていただいている伊東です。

今回は一休みということで、趣味としてのプログラミングの楽しさについて語っていきたいと思います。


プログラミングが趣味と言うと、一握りのギーク(卓越した技術を持つコンピュータ好き)だけが楽しめる趣味なのではと思われるかもしれません(私もそう思ってました)が、そうではありません。初心者からでも楽しむことができる趣味です。
初心者でもブログ等で記事を発信することができますし、身の回りのことでちょっとしたプログラムを作ると便利になったりもします。

私の例ですが、以下のように休日もプログラミングを楽しんでいます。

1.ブログを通した情報発信

私は、このブログと、もう少し軽めの記事を扱う個人ブログの2つのブログを持っています。

個人ブログの方では、開発していてつまづいたエラーとその対処法を書くだけの簡単な記事も備忘録代わりに載せていますが、そのような記事にも他の記事と変わらないくらいのアクセス数が来ています。
エラーとその対処法を載せるだけなら初心者でもできます(むしろ初心者の方がそういった記事は書きやすいかもしれません)。
自分がつまづいた箇所は他の人もつまづく箇所なので需要はあります。
自分が書いた記事が他の人のためになると思うと、ブログを書くのが楽しくなります。

また、ある程度スキルを積むと、そのスキルをどう後進に伝えるのかが課題になりますし、自然に後進に伝えたくなる人も少なくないと思います。
スキルを伝える手段としては研修や現場での指導がありますが、研修では期間が決められていますし、現場では同じ現場に居る人にしかスキルを伝えられません。
しかし、ブログであれば、研修期間外でも、同じ現場に居なくても、それこそ社外の人にもスキルを伝えることができます。
これも他の人のためになることですし、ブログを書くモチベーションになると思います。
仮に誰も読まなかったとしても、誰かに読んでもらうことを前提に記事を書こうと思うと適当なことは書けないので、自ずと理解を深めるために勉強することになります。
これが、自分のスキルを更に伸ばす上で大事なことになります。

2.身の回りのプログラミング

身の回りのことで、ちょっとしたプログラムを作ると便利になることが少なくありません。
例えば、買い物(欲しい物や持っている物のリスト)やイベントの運営(抽選や集計)等でプログラムを作ると便利です。

私の場合は、趣味でオンラインのゲームのイベントの運営をすることがあり、そこで一緒に組む人の抽選や結果の集計をプログラム化しています。
プログラム化しているおかげで、早くてスムーズな運営ができておりますし、参加者の方々からも感謝されています。
抽選や集計をするだけなら初心者でも手が出せるのでお勧めです。

また、少しハードルは上がりますが、他の人も使うような機能であれば、ツールとして提供することもできます。
ツールとして提供すれば、自分と関わりのないゲームをしている方々に使ってもらえることもあり、広く貢献することができます。


ここまで趣味としてのプログラミングの楽しさについて語ってきましたが、一番大事なのは自分のPCに開発環境を入れることだと思います。
自宅のPCに開発環境が入ると色々試したくなると思います。
少なくとも私は、自宅に開発環境を入れてから、趣味でもプログラミングをしたいと自然に思うようになりました。

開発環境と言われると、開発業務用のすごいPCにすごい人が入れてくれるもの、という印象を持つかもしれませんが、そうではありません。
普通に量販店で売られているPCにも開発環境を入れることはできますし、開発環境を入れるための手順もWeb上に上がっています。
(初めて開発環境を入れるのであれば、Pleiades All in One の JDK(Java) の環境を入れるのがお勧めです)
プログラミングの経験や興味があるけど開発環境をまだ入れていないという方、是非とも入れてみて下さい!