WBSを用いた作業計画をアローダイアグラムから説明!

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初めに

ウォーターフォールの作業計画や進捗管理では、WBSと呼ばれる管理表が用いられています。
また、WBSを作成するにあたっては、アローダイアグラムの概念を理解する必要があります。

この記事では、アローダイアグラムとWBSについて説明します。

(1)アローダイアグラムの概念

アローダイアグラムとは、プロジェクトの遂行に必要なタスクについて、タスクの流れを図形と数字で表現した図です。
(PERT図とも呼ばれます)
平行作業を伴う複雑なタスクの順序を表現でき、各タスクの関連や前後関係を明確にできる特徴があります。

図の構成要素は以下の3つです。

  • タスクの内容を示す矢印(実作業を伴わなず前後関係を示すためだけに引かれる矢印は点線で示す)
  • タスクの必要期間を示す数値
  • タスクの始点と終点となる丸印

アローダイアグラムの例は以下の通りです。

アローダイアグラムを使用する上で、重要になるのが「クリティカルパス」という概念です。
クリティカルパスとは、プロジェクトを進めていく上でスケジュールに影響が出る作業経路のことを指します。
上記の例では、A→B→D→E→F→Gの経路がクリティカルパスとなります。
逆に、B→C→Eの経路はクリティカルパスではありません。
仮にこの経路で2週間以内の遅延が発生したとしても、Eの時点でDの完了を待つ期間が短くなるだけなので、全体のスケジュールには影響が出ないためです。

遅延対策としては、クリティカルパス上のタスクに対して重点的に行うのが勘所となります。
例えば、要件定義が完了した時点で、基盤構築と設計の作業が予定の1.5倍の作業量が必要になったとします。
基盤構築(B→C→E)に関しては、3週間が4.5週間になったとしても、Eの時点でDの完了を待つ期間が2週間から0.5週間になるのみであるため、遅延対策は不要です。
しかし、設計(B→D→E)に関しては、5週間が7.5週間になると2.5週間分だけ全体のプロジェクトの完了日が後ろ倒しとなるため、それが許容できない場合は対策を行う必要が出てきます。

遅延対策の典型的な手法としては、人員の追加投入があります。
元々、5週間の作業を1人で行う予定であったとすると、「5週間*5日(1週間5日)*8時間(1日8時間)*1人=200時間」分の作業を行う予定であったということです。
これが1.5倍の作業量になったとすると、追加で100時間分の作業を行う必要がある、ということになります。
この100時間を、5週間の間に他の人員に対応してもらう、というわけです。
例えば、「5週間の間、1日4時間分だけ当該作業を実施してもらう人員を1人追加する」「最後の1週間で、1日5時間分だけ当該作業を実施してもらう人員を4人追加する」といった具合です。
上記は机上での計算であり、実際には追加人員が作業に入れるようにするための教育工数が追加となりますが、人員の追加投入という策の基本的な考え方は上記の通りです。

なお、作業量を数字で示す上で、現場では「人日」「人月」といった表現が使われます。
「人日」とは「1人が丸1日作業した場合の作業量(1日8時間と仮定するなら8時間)」、「人月」とは「1人が1か月間丸1日作業した場合の作業量(1か月20日で1日8時間と仮定するなら160時間)」を示す表現です。
前述の例で言うと、「100時間」の追加作業は「12.5人日」「0.625人月」と表現されます。

(2)WBS・ガントチャートの作成

「WBS」とは、プロジェクトの遂行に必要なタスクを表に落とし込んだものを指します。
(1)で取り上げたアローダイアグラムは概念的なものであり、実際の管理作業ではWBSが用いられます。

WBSはアローダイアグラムを表に落とし込むような形で作成されますが、作業管理のため、最終的には1人1人の実作業ベースになるまでタスクが細分化されます。

また、WBSで示されたスケジュールを視覚的に棒グラフで示したものを、「ガントチャート」と呼びます。

以下は、(1)で取り上げた例をWBS・ガントチャートに落とし込んだものです。
下記の例では、「プログラム作成」のみ「プログラムA~F作成」の形でタスクを細分化しており、「プログラムA作成」に関しては実作業ベースになるまで細分化しています。

実際の管理で用いる上では、上記の例で示した表に加え、「開始日や終了日について、予定日と実績日の2つに分ける」「先行タスクや後続タスクを書く欄を追加する」といった情報が必要に応じて付け加えられます。

後書き

今回説明したようなマネジメントスキルはそれ自体が有用なものです。
そして、マネジメントスキルだけではなく、プログラミングスキルのような技術系のスキルを両立していれば、より妥当性が高い管理を行うことができるようになり、現場により貢献できるようになります。

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